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2008年10月23日 (木)

投資銀行ってなんだろう?②

投資銀行の業務は、本来はリスクがそんなに高いものではなかったと思います。もちろん、株式市場に依存するお仕事なので業績の上げ下げはありますが、所詮は仲介ビジネスです。しかしながら、投資銀行が本来の業務から離れ、過度に「投資」を行ってしまったのが問題の出発点です。(投資銀行の名前からしたら、投資するのが当たり前のような気もしますがね。)

何が投資銀行を過度の投資に走らせたかというと、以下の2つが考えられます。

    既存のビジネスの成長余地が減ってきた

投資銀行で一番儲かるビジネスは、IPOなどの企業が株式を資金調達することをサポートするビジネスなんですね。(厳密にいうとIPOでも資金調達をしない場合があります。例えば株式売出だけとか。ただ、細分化すると本質的なことが見えなくなるので、ここでは無視します。)たとえば、株式で1,000億円の資金調達をする場合に投資銀行に手数料がいくら入るか分かりますか?だいたい世の中で最低の水準でも手数料率は4%なので、40億円程度の手数料が入ります。証券会社は製造業ではないので、ここから原材料費とかをさっぴく必要がないのです!なんて美味しいビジネスなんでしょう。ただし、問題は国が成熟化していくと、IPOする企業が減っていき、また、既に上場している企業も設備投資額が減りキャッシュフローが豊かになっていくので、株式で資金調達をする必要がなくなってきます。そうすると、投資銀行の収益源が減ってきますので、まずは目を外に向け始める訳です。ゴールドマンサックスが意図的にかは不明ですが、BRICSと騒ぎたて、ブラジル、ロシア、インドそしてチャイナへの投資を煽りましたが、そのような新興国で同様のビジネスを展開し、新たな成長フロンティを捜し求めていくわけです。しかしながら、そのような国が無限にある訳ではないので、このような既存のビジネスの成長余地は限られたものとなってしまいます。そのことが、投資し走らせたのだと思います。総合商社も仲介ビジネスだけでは儲からなくなってきたので投資がビジネスの中心になってきましたね。商社の場合は、資源高のおかげで、“今のところ”は絶好調です。

    過度なインセンティブによる欲の肥大化
アメリカに住んでいてホントに驚くのはシンプルなインセンティブがないと人が動かないということです。ドラッグストアやマクドナルドの店員なんて、愛想のかけらもありません(もちろん田舎に行くとちょっと違いますが)。一方、レストランの店員などは不必要に愛想が良いです。特に呼んでもいないのに、”How’s everything?”などと数分おきに聞いてきます。この違いが何かというと、チップというインセンティブの存在なんですね。
この極端な例がWall Streetの成果報酬の仕組みだと思います。アメリカの企業にとって誰が一番重要かというという質問に対する答えはものすごくシンプルで、株主です。その一番重要な株主に貢献するためには、株価を上げる必要があります。株価を上げるためには収益を上げることが求められます。したがって、収益に貢献した人に見返りをあげるのは、凄くシンプルでロジカルな帰結です。経営者や従業員もシンプルな動機付けを欲していますから、このような仕組みを受け入れ積極的に採用する訳です。しかしながらこのような成果報酬の仕組みにも、もちろん問題があると思います。ひとつは、この成果報酬のサイクルが短期だということです。短期間に収益を実現するためにはリスクをとらなくてはなりません。もうひとつが、報酬が天井知らずなのに対して、ダウンサイドは個人で負担する必要がないと言う点です。つまり、人の金を使いながら、勝ったら自分の取り分をもらい、負けたらお金を貸してくれた人の負担ということになってしまいます(もちろん職を失うというリスクはありますがね)。まぁ、そうすると当然、人々はどんどんリスクを取って、報酬を上げようと行動しちゃいます。実際に、投資銀行は人からお金をどんどん借りて投資活動を行いリスク資産を積み上げていくことになる訳です。ちなみに、リーマンブラザーズ元CEOのリチャード・ファルドは2007年には40億円程度の報酬を受け取っていたらしいです。日本の上場企業の社長なんて1億円ももらってないと思うのに。。。

このような背景があり、投資銀行は積極的に投資活動を行いリスク資産を増やしたところに、サブプライム問題が起きたわけです。(サブプライム問題については、時間があれば、別途考察したいと思います。)

そして、投資した資産の価値が下がり大幅に収益が悪化し、そしてお金の貸し手もいなくなり、投資活動に傾斜した投資銀行モデルが成り立たなくなってしまいました。ゴールドマンサックスなどは、投資銀行としては資金調達能力に限界があるとして、商業銀行に業種替えを行いました。

「それで、日本の投資銀行はどうなっちゃうの?」

それは次のエントリーで。

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